− 現場スタッフが語る −

商品開発秘話


【第18回】

弾道でチョイスする"赤"と"黒"

グローブライド株式会社
スポーツ営業本部 ゴルフ営業部 開発設計課 係長
山口 利道

− 現場スタッフが語る − 商品開発秘話

捕まえて飛ばす高弾道ドローボール設計(ONOFF DRIVER TYPE-D)

グローブライド株式会社
スポーツ営業部 開発設計課 係長 山口 利道

 2012年モデルの「オノフドライバー」は、従来から採用されている独自の「VSL BALANCE」と「ハイパーエフェクトゾーン設計」をさらに進化させたことにより、前モデルよりもさらなる高初速、最適弾道を実現した。バリエーションは従来どおり。高弾道ドローボール設計の「TYPE-D」"赤"と、中弾道ストレートボール設計の「TYPE-S」"黒"。どちらも460㎤ヘッドを搭載し、スイングタイプに沿った最適な機能と、さらに直進性と方向性に秀でた特性が加味されている。
さて、ヘッド設計のキーポイントとなる「ハイパーエフェクトゾーン設計」とは、どのような概念なのか。オノフを語る上で、いやその機能性の高さを理解するため必要不可欠な部分なだけに、開発担当の山口 利道に話を聞いてみた。

 「ご存知のとおり、飛距離性能を決定する3要素は初速(VELOCITY)、スピン量(SPIN)、打出角(LAUNCH ANGLE)です。これらの最適値はスイートゾーンで得られると考えられていましたが、数年前から解析を進めていくうちに新たな事実が判明したのです。それは最大初速がスイートゾーンの下で得られるということでした。そこで最大初速ゾーンをスイートエリアまでシフトさせ、VSLバランスを最適化した設計が当社独自の『ハイパーエフェクトゾーン設計』ということです」

 2008年モデルから採用されたこの設計は、ミスヒットに強い、芯を喰いやすいドライバーとしてユーザーから絶大な支持を得た。その後、年々進化を重ねて今回の2012年モデルには、さらなる改良、微調整が施され、混沌とするクラブ市場において完成度の高さはトップクラス。市場の評価も非常に高い。

 「基本的に『TYPE-D』"赤"は、前モデルからのキープコンセプトです。つまり構えたときの安心感、そのイメージのまま振ればナイスショットの確率が高まることを目指しました。前モデルまでは球の捕まり、上がりやすさ、といったやさしく打てる側面は十分に果たせていたので、今回はさらに飛距離性能のアップに重点を置いたのです。
そのため、まずはフェース構造を見直し、5段階肉厚設計の『ワイドハイパーエフェクトフェースⅢ』を採用しました。

 具体的には、フェースを9つのエリアに分割し、肉厚を5段階に変化させることで高初速エリアを拡大しました。つまりオフセンターヒット時、とくにトゥ・ヒール側でヒットしてもスイートゾーンでヒットしたときと遜色ない飛距離、方向性に近付けています。同時にフェースの軽量化も促進し、その分の余剰重量をヘッド後部に配置(タングステンウェイト5g)することで深い重心位置とヘッドのシャロー化による低重心設計で捕まり、上がりやすさが付加され、初速、スピン量、打出角がより最適化し、高弾道でも全く吹き上がらない強い弾道を実現しています」

付け加えるなら、単にイージーな機能だけでなく、シャフトチョイスさえすればパワーヒッター、特にショットの左右のブレに悩むゴルファーにも強い味方になってくれる懐の広さもある。加えて"赤"の特長で外せない機能といえば、ネックにジョイントホーゼルを採用していることだろう。フェース角、ロフト角、ライ角の±1度調整でき、様々なゴルファーのスイングに対応するフィッティング機能も兼ね備えている。さらに秀逸なのがヘッドデザインだ。オノフのこだわりとも言うべきポイントで、機械的なデザインではなく、流線的なフォルムで構成されている。ソール部の凹凸しかり、ネックからフェースへつながるラインがより自然になり、構えやすさも大幅に向上している。

左へのミスを恐れず思い切って叩ける(ONOFF DRIVER TYPE-S)

 さて、一方の「TYPE-S」"黒"はどうか。手にした瞬間の感想を一言で表現するならば、「さすがオノフ!」。460㎤のヘッドながら、操作性のよさと叩けるイメージが伝わる、感動的美形ヘッドなのだ。さすがにクラブを知り尽くしたブランドだけに、フィーリングのよさが際立っている。

 「高弾道で捕まりやすい(ドローボール)"赤"に対して、"黒"は中弾道のストレートボール。前モデルから、叩いても左に行きにくいデザインと設計を踏襲していますが、よりスクエアな顔つきでラインをイメージしやすく操作性の向上をテーマに、リニューアルしました。具体的な箇所を言うと、フェースのシャロー化と重心位置の見直しです。まずフェースには鍛造カップフェース構造に加え、H字型肉厚フェースに中厚エリアを設けることで、打感の柔らかさと高初速エリアの拡大の両立を実現しました。形状的には前モデルよりも0.5ミリフェース高は低くなり、重心高も0.5ミリ低くなっています。重心距離は短く、重心深度も浅めにしていますし、フェースアングルも-0.5°に設定してありますので、思い切って叩いていけると思います。」

 中・上級者のニーズに応える操作性の高さとアゲンストに負けない弾道安定性。打感も弾きと粘りが程よいところで共存している。ターゲットユーザーを意識したこだわりのある設計だ。しかし、決して難しい(手強い)モデルではない。リストコックやアームローテーションを多用する上昇志向のアベレージゴルファーにも使える懐の広さも兼ね備えている。

高性能ヘッドのポテンシャルを引き出す独自設計のシャフト

グローブライド株式会社
スポーツ営業部 開発設計課 係長 山口 利道

 オノフのシャフトは素材開発、設計技術ではクラブメーカートップクラスの先進性を誇っている。それがSVF(Super High Volume Fiber)カーボンである。これは高密度カーボンよりさらにレジン(樹脂)の量を減らし、カーボン繊維を超高密度にすることで本来の弾性力をフルに引き出す製法だ。

 「"赤"に採用したシャフト「SMOOTH KICK MP-512D」(中調子)の特性は、ターゲットユーザーを意識すると先端を走らせて捕まるイメージを出したかった。しかしあまりにも軟らかくしすぎると、ヘッドの慣性モーメントに負けて、切り返しからインパクトにかけヘッド挙動も安定しなくなるため、適度に先端と手元の剛性を上げて、中間部をしならせる味付けにしてあります。一方、"黒"に装着した「SMOOTH KICK MP-612D」(中元調子)は、ヘッド特性に合わせて前作比で約2g重量を重くし、ダウンスイングでタメを作れる方に最適仕様となっています。切り返しのタメを保ち、中間部のパワーエリアがしなり、先端部にかけて剛性を高めることで、ヘッド挙動の安定と再現性の高いインパクトを可能にします。両モデル共通なのは、"赤"と"黒"のフェアウェイウッドやユーティリティとのスイングイメージからかけ離れないように、シャフト全体が穏やかにしなって、滑らかに走る特性ですね」
 スイングタイプ、打ちたい球質でチョイスする"赤"と"黒"のラインナップ。どちらにするか迷うところではあろうが、まずは目安としてスイングタイプとドライバー特性の関係について記しておこう。

 スイングタイプを大別すると、シャットフェース気味にテークバックして、トップスイングでのフェースが空を向くようにスイングするタイプのゴルファーと、フェースを開きながらバックスイングし、ダウンスイングからインパクトにかけて閉じてくるスイングをするタイプのゴルファーに分かれる。どちらが正しいのか、という問題ではない。これは、スイングプレーン+クラブの重心深度、距離との関係がもたらす現象なのだ。フラットなスイングプレーンでシャットフェースのスイングをすればフックしやすい。あるいは左に飛び出しやすい。この場合はフェースを開きながらバックスイングした方がスイングプレーンにヘッドを乗せやすい。逆に長身のゴルファーはアップライトなスイングプレーンになり、シャットフェース気味にスイングした方が自分のスイング軌道と合致させやすい。

 こうした基本があり、さらにクラブ機能がこれに加わる。重心深度が深く、重心距離が長いタイプのドライバーでは、開こうとすると必要以上に開きやすく、開いたものを閉じようとするととてつもないエネルギーを要する。そこで、シャット気味に使った方がスクエアにボールをヒットしやすいのだ。逆に重心深度が浅く、重心距離の短いタイプは操作性が高く、開く、閉じるという動きもスムーズにできる。どういうタイプのスイングをしたいのか、しているのか...。それによって、"赤"と"黒"との相性が異なってくるというわけだ。ぜひ参考に、機会があれば実際に試打して、自分だけの "赤"あるいは"黒"に出会っていただきたい。

「ONOFF DRIVER TYPE-D」について詳しくはこちらから
「ONOFF DRIVER TYPE-S」について詳しくはこちらから

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